【メディテーションとの出会い】
ストレスフリーを求めて
新卒で希望していた職に就けたものの、新人の労働環境は最悪で、朝から晩まで仕事をしていた。スキルがないので時間がかかるのはしょうがなかったが、リーダーが納得するクオリティーを目指さないと家に帰れないの辛かった。往復3時間かかる自宅から通勤していたので自分の時間などほぼないに等しかった。
加えて、小さい企業だったのでトップの思いつきで事業内容が一瞬のうちに変わる事も多く、そのたびに自分の境遇が変わっていく恐怖と不安にも怯えていた。毎晩嫌な夢を見た。具体的には暗室に連れていかれてその中で水晶玉に入ったサメを見せつけられると言う夢だった。今でこそ朝早く起きることができるが当時は1秒でも布団に長くいたい、仕事に行きたくないと言う気持ちでいっぱいだった。
ある日、仕事のストレスから冷や汗、不安感が止まらなくなった。重要な会議に出ていたのだが周りの人が喋っている議論に全くついていけなくなってしまった。このような精神状態にいたので、上司のちょっとした小言や、起きてもいないことから漠然とした不安が頭を駆け巡り、パニックに陥ったことが数え切れないくらいあった。一旦ネガティブな思考にハマるとそれから抜け出せなくなる弱い自分に気づいていた。今思えばあれは軽い鬱状態だったと思う。
幸い、その会社から転職することになったのだが、そのことをきっかけにして、このままストレスをもろに受ける体質ではいけないなぁと言うことを考えるようになった。
必要なのは10分間の瞑想だけ
それからいろいろ不安の対処法などを試したが、いまいちピンとこなかった。しかしついにその数年後、TEDトークに出ていたアンディー・プディコムのメディテーション(瞑想)の話に衝撃を受ける。
Andy Puddicombe: アンディー・プディコム 『必要なのは10分間の瞑想だけ』 | TED Talk
彼は以下のように語っていた。
感情が浮かんでは消えていくのにまかせることを学び、心の奥にこの意識と視野を保っていれば、どれほどやっかいな感情が襲ってきても、それがどんなに強烈でも、つねに平気だと感じられます。
これが自分にはぴったりきた。
アメリカの心理学の研究によると、人間は1日におよそ6万個の物事を考えると言われている。それらほとんどが来年の予定をどうしよう、とか、過去の失敗などで、実際に今起こっていないないことだったりする。これら一つ一つ対応して、それ以外の集中すべき大事なことに時間を割くことができないのはもったいないと考えられるようになった。
手軽に始められることも相まって、この面白さに取り付かれた自分は毎日10分づつメディテーションすることにした。
メディテーションは頭を空っぽにすることではない。
たった10分間集中するだけでいいと言う手軽さも自分に合っていた。始めた頃は自分の考えてることに集中するなんて到底できないと思っていたし、勘違いしていた。
頭を空っぽにしなきゃいけないと思っていたからだ。
でもそれは違った。メディテーションとは今、ここ、に意識を集中し、とめどなく流れる考えを観察し続けることにある。大事なのは今起きていることだけに集中すること。
家族で遊びに行っているのに携帯をいじっていて全然しゃべらないなど(私の父はこれをやりがちだった)。
メディテーションをすることで今目の前で起きていることがいかに大切か、気がつくことができる。家族や大切な人との時間に集中することができる。
いかに普段の生活で自分がどうでもいい考えにとらわれているかがわかる。
この後ミャンマーに行き、本格的にヴィパッサナーメディテーションのコースに参加したりした。
自分にとっての副次的な効果
メディテーションするといつも無意識に無視していた感情や気づきがはっきりと浮かんでくる。普段思いつかなかったアイディアがふっと湧いてくることがあるこれはメディテーションと言うより考え事になってしまっているのだが…これも自分にとっては大事な側面となった。
純粋なメディテーションを行う時と、発想するときの時間を区切ってやるのも楽しいと思うようになったので、これが後のカプセルメディテーションにつながっていった。